【Raspberry Pi Pico入門 – 応用編】乾電池で動かしてみる

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概要

基本編で扱った回路はすべてPCのUSB端子から出ている5Vを使って回路を動かしていました。ただ、このままではPCかUSB充電器がないと動かいないのでコンセントがあるところでしか使えない回路となっています。そこで今回はRaspberry Piを乾電池で動かしてみます。

コンセントを使わない電源としてエネループ等のニッケル水素充電池やリチウムイオン電池が思い浮かぶ方も多いと思うのですが、初心者にはお勧めできません。なぜかというと充電池は乾電池に比べてデリケートな扱いが必要で、特にリチウムイオン電池は少し扱い方を間違えると簡単に発火します。しかも発火してしまうと内部の電力を使い切るまでは消火器を使っても消火できないので、かなりの確率で火事に繋がります。(これが電気自動車等で重大事故に繋がっている原因の一つです)何度も繰り返し充電して使えるので経済的!と感じるかもしれませんが、重大な事故につながりやすい部品なので充電の原理をしっかり理解するまでは絶対に使わないでください。

少し怖い話をしてしまいましたが、乾電池ならショートにだけ気を付けておけば基本的に部品が壊れるだけで済むのでお勧めです。ただ、壊れ方によっては部品が熱くなることはあるので燃えやすいものは近くに置かないようにしましょう。
ちなみにUSB電源は各種安全回路が内蔵されているものがほとんどで、発火する前に緊急停止したり電力を制限したりするので乾電池より安全です。

実行環境

MCU:Raspberry Pi Pico、Raspberry Pi Pico W

回路

以下のように配線することでRaspberry Pi Picoを乾電池で動かすことが出来ます。プラスとマイナスを間違えたり、プラスをVSYSとVBUS以外に繋ぐと一瞬でRaspberry Pi Picoが壊れるので注意してください。
乾電池を接続すると同時にRaspberry Pi Picoが起動してプログラムがスタートします。

電源スイッチを作るときは以下のように乾電池との間にスイッチを追加します。

もしかしたらうっかりプラスとマイナスを間違えてしまうかも…と心配な方はスイッチの後にダイオードを追加してください。

解説

Raspberry Pi Picoを起動するにはマイコンに3.3Vの電源を供給する必要があります。Raspberry Pi Picoにはバックブーストコンバータと呼ばれる部品が搭載されており、VSYSに印加した電圧を3.3Vになるよう上げたり下げたりして上手く調整してマイコンに電源をを供給してくれます。
ただバックブーストコンバータの調整機能にも限界があり、電圧が低すぎるとバックブーストコンバータ自体が起動せず、電圧が高すぎると壊れてしまいます。

Raspberry Pi PicoとRaspberry Pi Pico Wは回路が若干異なるので別々で解説します。
分けて考えるのが面倒だという型は、「どちらも1.8V~5.5Vの電圧で起動する」「乾電池2本か3本(3.0V~4.5V)で起動する」と覚えてください。

Raspberry Pi Pico

Raspberry Pi Picoの電源回路は以下のようになっています。「VSYS」に乾電池を繋ぐと、RT6150Bがいい感じに調整して「3V3」から3.3Vを出してくれます。
RT6150Bが正常に動作する入力電圧は「1.8V~5.5V」です。ちなみに電流は800mAが限界値なので、余裕を見て640mA以下で使ってください。

VBUSに乾電池を繋いだ場合ですが、途中にダイオードが入っているので電池のプラスとマイナスの接続を間違えても壊れないというメリットがありますが、乾電池をつないだままUSBを繋いだ時にUSBコネクタに負担をかけてしまうので個人的にはあまりおすすめしません。(うっかり電池を繋げたままプログラムを書き換えようとしてPCのUSB端子を壊したことがあるので。。。)

Raspberry Pi Pico W

Raspberry Pi Pico Wの電源回路は以下のようになっています。バックブーストコンバータ―はRT5154Aが使われており、性能がアップしています。RT5154Aが正常に動作する入力電圧はRT6150Bと同じく「1.8V~5.5V」です。また電流は2.6A(条件次第では4A)まで出力することが出来るので、小さいモーターなら3V3端子から電源を取ることも出来ます。ただしダイオードD1は1A、USBコネクタやUSB電源は1~2A程度しか耐えられないので、1A以上のものを動かすときはUSBを接続しないよう注意してください。